2018年10月03日

スペイン食い倒れツアー '18 その4

20181003-1.jpg


第4章 サンセバスチャン満腹ツアー

ビルバオのバスターミナルの電光掲示板を三人はずっと見ていた。
15時発の『SAN SEBASTIAN』行き、もしくは
『DONOSTIA』行きがどのレーンなのかなかなか表示されない。
ちなみにSAN SEBASTIANはスペイン語で、DONOSTIAはバスク語。
どちらも同じ街の名前だ。ややこしいがこの両表記に慣れなくてはならない。
郷にいれば郷に従え、である。

「あ!出た!」

掲示板に表示されたレーンまでスーツケースを転がしていく。
バスはすでに停まっているがドアは閉まったままだ。
バスの正面の行き先表示を確認すると間違いなし。さらに出発時間まで待つ。

そして出発時間の直前に運転手がやってきて荷物入れのドアを開けた。
ぞろぞろと他の乗客がスーツケースなどを積み込んでいく。
なるほど。
客が各自で積み込むシステムらしい。
沙織がプリントアウトしてくれていた予約確認書を提示して席に着く。

それぞれ一人づつ窓際に縦一列に並んだ。
沙織が景色を堪能できるよう、全員窓側に座席を取ってくれていたのだ。
ちなみに帰りは反対方向も見られるように予約したとのこと。さすがである。

バスは定刻に発車。
風景は市街地からすぐに牧歌的なものへと変わる。
山の斜面では所々で羊が放牧されている。車窓を楽しむ。

きっかり予定通りにサンセバスチャンのバスターミナルへ到着。
地下の降り場からエレベーターで地上に出るとすぐタクシー乗り場が見つかった。
すかさず加乃が聞く。

「銘子さん、あれ!準備OK?」

「もちろん!」

ホテルの名前と住所はノートに大きく書いてある。
後部座席からそれを見せると運転手はすぐ頷き、アクセルを踏んだ。

あっという間にホテルに到着。小さなペンションのようだ。
旧市街に面した通りにあり、便利そうである。


20181003-2.jpg


受付のおにいさんにそれぞれ部屋の鍵をもらう。
加乃の部屋は『LABOA』、沙織の部屋は『HEGOAK』で、
そして銘子の部屋は普通に『201』。
かなり不思議でランダムな命名である。おにいさんが説明してくれた。

このホテルのオーナーが好きな歌手が『LABOA』で、
その人の曲で好きなのが『HEGOAK』というのだそうだ。
名前は個性的だが、『LABOA』も『HEGOAK』も『201』も
部屋はほとんど変わらぬ作りなのだった。


20181003-3.jpg


一息入れて、いざ、ピンチョスツアーに出発だ!
徒歩ですぐの場所にある『Mimo クッキングスクール』が
展開しているツアーに参加するのである。
これは日本からネット予約しておいたものだ。
初めての街で山のようにあるピンチョスの店を効率的に廻るためこれを利用するのである。

カーキ色のコートを着たかなりパワフルな感じの女性が現れた。

「はーい!お腹空いてる〜?」

ガイドのルルドさんはクッキングスクールで料理を教えたり、
ピンチョスツアーを引率している、この旧市街出身のママさんである。
ロンドンに住んでいたこともあって英語が流暢である。
おのずと全編英語のツアーとなる。

銘子は英語がよく分からないので、加乃と沙織の後ろについていく。。

「はーい、こっちにいらっしゃーい!」

勧められるままカウンターの席に着くと、ルルドさんがグラスを並べ始めた。

「白がいい?それとも赤?」

「じゃあ…白を…」

我々3名とあと2名が合流して合計5名のツアーとなるようで、
揃うまで飲んで待っていよう、ということらしい。

がっつり注いでくれる。

ホテルの朝食をしっかり食べてから美術館のビストロでランチ。
移動はほとんどバスとタクシーだったのでお腹が空いていない不安を抱きながら
ワインをちびちび飲んでいると…若い男女二人連れが現れた。

オーストラリア出身のカップルで世界一周の途中で立ち寄ったとか。
バックパッカーというよりも洗練された、いわゆる『シュッとした二人連れ』である。
若くして世界一周…なんの仕事してるんだろうか?

いや、世界は広い。いろいろな人がいるのだ。
軽く談笑したのち、さあ、出発だ!


20181003-4.jpg


地元っ子のルルドさんはどこに入っても知り合いがいるようで、
勝手知ったる店とばかりにさっさと5人分の席を確保してくれる。

最初の店に入る。
やっぱりバスクでの第1杯目は『TXACOLI(チャッコリ)』でしょー!と
ルルドさんがいうので全員それにする。

白の発泡ワインのようで、これのグラスへの注ぎ方がすごい。
水芸のようだ。右手でボトルを高々と掲げ、
左手にグラスを持って大きく腕を開きながらおじさんは瓶の注ぎ口を凝視している。
グラスは見ていない。でもこぼさない。プロだー。
液体は大きな弧を描いてボトルからグラスへ注がれる。

この高い位置から注ぐことで、細やかな泡が立ち、香りも開くのだそうだ。

この飲み物にそれぞれ2個ずつピンチョスがやってくる。
『ししとうをシンプルに炒めて塩で味付けしたもの』と
『エビのソテーにたっぷりオリーブオイルをかけてバゲット風のパンの上にのせたもの』の2種類だった。


20181003-5.jpg


ししとうが旨い。シンプルでいい。


20181003-6.jpg


そして次のピンチョスをかじると、パンがふわっとエビと一緒にちぎれる。
上に乗せる具材と柔らかさが合ったパンなので同時に噛み切れるのだ。
さりげないが、なかなかの気遣いである。

具材だけがびろ〜んと全部口に入ってきたりしないのだ。すばらしい。

エビにかかったオイルが指にまとわりつく。ここでルルドさんが一言。

「はーい。指や口をぬぐった紙ナフキンは床にポイっと捨ててね」

足元を見ると丸まったナフキンが転がっている。
これが多い店ほど繁盛しているということなので気にせずポイポイせよ、と。

幼い頃からゴミはゴミ箱へと躾けられて育った日本人三人には
かなりの抵抗があるが…ここは郷に入れば従うのみ、
とそっと足元に『置きに行く』のであった。


20181003-7.jpg


「はーい、次の店に行くわよー」

次の店でも飲み物1つにピンチョス2つがノルマ(?)である。
めくるめく海鮮、肉、野菜。4軒目でもうギブアップ状態になりつつあった。


20181003-8.jpg


20181003-9.jpg


20181003-10.jpg


20181003-11.jpg


20181003-12.jpg


20181003-13.jpg


20181003-14.jpg


オーストラリアからやって来た二人ももう無理!
ということで最後はデザートのお店になった。

「えーっ?もうお腹いっぱい?だめじゃ〜ん!まだもっと行く予定だったのにー!」
みんなが手をつけられなかった皿を平らげながらルルドさんは言った。

最後の店でデザートをいただき、解散となった。


20181003-15.jpg


親切にも、後でどの店に入って何を食べたかメールしてくれるそうだ。
店の名前もすべて記してくれるそうなので再訪可能だ。

飲み過ぎと食べ過ぎで疲労困憊の三人は
それぞれホテルの部屋に入った途端にベッドに倒れこみ、
シャワーも浴びずに一日が終わったのだった。


posted by Avril at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛の立ちくらみ劇場
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184588177
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック