2019年07月06日

2019年パリ迷い歩き その1

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3月8日、出発の朝。銘子は支度を終えて部屋を見回した。

準備よし。


あ。缶ビールの空き缶を部屋の外にだしておかないと。

ベランダの仮ゴミ置場からもどった途端にインターフォンが鳴った。

7時に予約してあったタクシーが到着したようだ。


いってきます。部屋を出るときに銘子は小さく呟いた。


タクシーに乗り、走り出した途端に運転手のおじさんが話しだした。


「ナビでお宅を指定したら、えらいややこしい道行け、言うんですわ。

言う通りにしたけど、来てみたらもっと簡単な道あったの分かったんですけどね」


「あ。そうですか。すみません」


「いやー、お客さん、良かったですわ。ほんまに綱渡りですねん、うちの配車」


「え?」


そこからやけに内部の話をしだす。

その話の合間に銘子はおずおずと言ってみた。


「あのう…昨日、予約した時は『ちょうどお車ございます』

って言ってくれましたけど」


「なにが『ちょうど』って?そんなん言うてましたか?

綱渡りみたいなもんでっせ。この7時ってのがややこしいんですわ」


「ややこしい?」


「みんな朝は眠たいでしょ?それでなくても運転手少ないとこにもってきて、

みんな遅めに出るからこの時間は車が少ないんですわ。

うちは6時、6時半、7時、7時半、8時出社でそこから18時間勤務。

私は今日は0時まで。会社は午前2時までの営業ですわ」


「あ。24時間営業じゃないんですね


「郊外のタクシー会社は大抵そんなもんでっせ。

もっと早くに仕舞うところありますからねー。

で、私が駅の先頭におったら指示きてここに来ましたんですけど、

この時間に駅で待ってたらいつも乗りはるお客さんいてましてね、

その人乗せてたら誰もこの7時のお迎え来られへんとこでしたんですわ」


なんだかよく分からないけど恩を着せられてる感じがする。

話題を変えようと目の前に掲げてある広告をみて銘子は言った。


「最近、スマホアプリから今いる現在地に配車してもらえるようになったんですねー?」


「それがですがな」


え。墓穴掘った???

おじさんはここぞとまた新しい話題で愚痴りだした。


「呼び出しあって、そこに着いたらお客さんいてはらへんこと多いんでっせ。

呼び出しといて流しのタクシー来たらそれに乗ってしまうんですわ」


あらあら。


「呼び出しは駅で並んでる先頭車に来るんですね。

長いこと待って待って、やっと先頭に来たと思ったら…

呼び出されて指定場所に行っても誰もおらへん。

駅に帰ってきてまた並び直すって悲惨でっしゃろ」


ああ、ほんとに。


「それにこの配車アプリは住所しか出えへんのですわ。

建物の名前が分かったらシュッと行けるところを

ナビ見ながら行って、ああ、この病院やったんや、って感じ。

住所だけやからゴールの旗立つのは必ずしも正面とは限らへん。

ナビに裏口に連れていかれて一方通行で難儀するとかありまんねん」


延々とおっちゃんの愚痴を聞いているうちに空港バスの乗り場に着いた。

軽い疲れを覚えながら、いざ、出発だ!




posted by Avril at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛の立ちくらみ劇場
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